本日大変残念な法律が成立しました。
今後のハワイのバケレンに大きな影響を及ぼす可能性があります。
なるべく分かりやすく解説したいと思います。
目次 |
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Bill 89とBill 85 |
ワイキキのどこが影響を受けるのか? |
違反者への罰金はどれくらいか? |
バケレンオーナーがすぐに行動すべきことは? |
新しいバケレンライセンスについて |
今後の対応について |
Bill 89とBill 85
ホノルル市議会が賛成多数で可決したBill 89とBill 85。本日カルドウェル市長がBill 89に署名、そしてBill 85は否決しました。現在8000件とも言われているハワイの所謂「違法」バケレン。一気にメスが入り約6000件はマーケットから姿を消すと言われています。
Bill 89(成立)
- 非居住型のバケレン運営は禁止
- リゾートゾーンに位置する物件、NUC(バケレンライセンス)付は今後もバケレン可能
- その他はライセンスを付与(合計1800弱、但し申請は2020年10月1日以降)
- Airbnbなどのホスティングプラットフォームはバケレンホストを月次報告義務化
- 2019年8月1日施行、その後は上記に当てはまらない物件の広告禁止
Bill 85(否決)
- Bill 89に違反するバケレン経営者に対してより厳しい罰金、処罰、並びに施行について定めるもの
ワイキキのどこが影響を受けるのか?
Bill 89が成立したことにより、ワイキキでリゾートゾーン以外、主にクヒオ通りから北側は法律を素直に読むとオーナー非居住型は禁止ということになります。
アパートゾーンに物件を所有しており、ユニット全てを貸し出している方はBill89に該当します。
イリカイホテルやマリーンサーフなどはリゾートゾーンになりますので今後も同じように短期バケレンをすることができます。
違反者への罰金はどれくらいか?
Bill 89によると「(Airbnbなどに30日未満の短期賃貸に関する)違法広告に関与した不動産所有者にはまず通知され、広告が7日以内に取り下げられた場合、最初の違反に対して罰金は科されません。この期限内に解約されない場合、広告が表示されたままになる日ごとに1,000ドルから10,000ドルの罰金が科せられることがあります。」とあります。
該当するバケレンオーナーがすぐに行動すべきことは?
取締がきちんと行われると仮定して今年の8月1日以降から30日未満の短期滞在の広告を30日以上に変更する旨管理会社に指示すべきかと思います。
管理会社にも今回の法案で法的責任を問われる可能性はなくはないが、基本は不動産の所有者に責任があるとしています。 まだまだ不明点が多く判断が難しいですが、まずは30日以上に変更して様子を見るべきかと思います。
個人的予想ですが、現在入っている予約に関しては消化しても問題はないのではないかと感じています。というのもすでに8月以降多く予約が入っている物件もあるでしょうから、これを全てキャンセルするというのは難しいのかなと思います。
新しいバケレンライセンスについて
ホノルル市は新ライセンス発行の準備ができるまで1年以上かかるとしています。さすがハワイです。現在は2020年10月1日より受付開始目標です。
申込み対象者はかなり限定されます。
- 応募者は個人のみ、法人不可
- 申込者は、Home Exemptionが認められている物件の所有者であること(つまりハワイ在住者に限定しています)
- バケレン用の保険に加入している必要があります
- 初回登録料は1,000ドル、年間更新料は2000ドル
- 訪問者の宿泊施設に使用できるのは2ベッドルームまで。
- 午後10時から午前8時の間にQuiet Timeを設ける必要あり
- 管理組合の一部である場合は、それによる承認を取得する必要がある
- 250フィート以内の近所の人には、24時間対応の電話番号を付与しなくてはならない
非常に厳しい内容になっています。さらには各地区毎にライセンス発行は全住居数の0.5%未満に留めなくてはいけないという数の制限もあります。
ノースショアーは自治体の法律ですでに禁止されているのでライセンス発行なし、ホノルルエリアは907件、僕の住むハワイカイエリアは92件までライセンス発行可能とあります。おそらく熾烈な競争になるでしょう。
今後の対応について
現在不動産を所有してバケレンされている日本人オーナーの殆どの方は日本在住かとおもいます。来年ライセンスを申請することもできないので方法としては:
賃貸を30日以上にする
建物によりますが、例えば二週間の予約を受けてその後の二週間を空室にすれば30日単位として認めるというケースがあります。このようなペースでもOKというオーナーさんは例えば14日とか21日として募集して、月の残りに予約をいれないという方法もあるかと思います。
ライセンス付、もしくはリゾートゾーンの物件に買い換える
クヒオ通り以南のバケレンOKのコンドミニアムに買い換えるという選択肢もあるかと思います。マーケットの動きもありますのでリアルターと相談しながらこの選択肢を模索してください。
何れにせよ今後の動きを注視
現在発表されている情報ですとまだ不明な点があります。例えばクヒオ通り以北のアパートゾーンに位置するホテルコンドです。ワイキキ・バニアン、ワイキキサンセット、アイランドコロニーなどはすべてこれに該当しますが、これらの物件は引き続きバケレン運営ができるのか?それともホテルに預ければ免除なのか?などです。
さらにBill 85が否決されてどれくらい自治体が取り締まるのかという疑問も残ります。もともとホノルルでは1980年代からアパートゾーンでのバケレン運営は禁止されていましたが、自治体がほとんど取り締まって来なかったという背景があります。自治体も住民の多くがバケレン管理や清掃業に携わり家族を養うための収入として非常に大きな役目を担ってきたのを知っていたからです。
「ホテル以外」の選択としてバケレンはすでにハワイへ来る観光者にも浸透していたので非常に残念だし、観光に来る人の選択肢をわざわざ排除するのは世界屈指の観光都市の市長がやるべきこととは到底思いません。
ただ「もう終わりだ〜」となるのではなく、罰金を科される危険を回避しながら状況を見極めていくことが必要かと思います。一部の物件ではゾーニング変更を含めてバケレン推進していく検討をしています。
僕も管理会社としてお客様の物件に影響がでていますし、個人で運営している物件も大打撃です。
お客様のためにも引き続き情報収集し、提案を含めこの状況を乗り切るようお手伝いしていく所存です。
尚、弊社データベースには1980年代に発行された現存800件のバケレンライセンス付の売り物件を全件把握しています。
買い替え、新規購入によって合法的にバケレンが経営できる物件にご興味のある方は以下よりお問い合わせください。
インバウンドの、観光業界の収入減にも繋がりかねない法案を制定するに至った背景って?
禁止されるエリアに居住されている方々に何か具体的な被害が出てるってことなんでしょうね。
ハワイはホテル業界のロビー活動が半端なくて言葉は悪いけど民泊を殺したがっていたのよね。居住者がクレームつけている物件もあることはあるんだけどどちらかっていうと前者の圧力かと。
ハワイはタイムシェアが流行ってるみたいだからね。
そっち買ってね!!って意味かと思いました💦💦
コメントありがとうございます。タイムシェアは日本の方に人気ですよね。ちなみにこちらの宅建保持者はタイムシェアか普通の不動産のどちらかしか取り扱えないです。皆さん一方を選択しています。
今回の措置の結果、リゾート地域じゃない物件や許可書のないワイキキのコンドミニアムは物件の価格や1ヶ月当たりの賃貸料が下落し、ハワイ在住の人も買いやすくなったり借りやすくなったりするでしょうね。
確か2000年ごろはリースホールドのバニアンで150000ドル、同じくリースホールドのアイランドコロニーで90000ドル程でしたからフィー(バニアンで100000ドル、アイランドコロニーで30000ドル)込みの今の価格は現地の人にとってはちょっと異常だと思います。
yu-chanさん、コメントありがとうございます。本当に高くなりましたよね。個人的な所感ですが今回の法案での価格下落、家賃下落は一時的かつ限定的になると見ています。マクロで見ますとハワイ全体の不動産の国際的需要は変わりませんし、慢性的に不足している賃貸需要を満たすまでの供給にはならないと思います。ただローカルが買えない価格帯はどうかと思います、本当に。